かつて所領の半分を一冊の稀覯本と引き替えにしたほどの好事家であり蒐書狂(ビブリオマニア)の祖父は、古ぼけた屋敷とそこに納められた蔵書の全てを青年ヒューイに残した。条件は一つだけ。『書架』を引き継げ――と。遺品整理に屋敷を訪れたヒューイは、うず高く本の積まれた地下室で、静かに本を読む少女と出会う。漆黒のドレスに身を包んだ少女は、胸に大きな錠前を隠し持っていた。それこそは禁断の幻書を納める“ダンタリアンの書架”への入り口、悪魔の叡智への扉だった――。
“あなたは そこにいますか?”西暦2150年。遠い宇宙から来たシリコン生命体・フェストゥムとの戦いは、新たな局面を迎えていた。第一次蒼穹作戦で砕かれた北極ミールは、その欠片を世界中にまき散らした。それらはやがて、独立したミールとして、個別の活動を始めた。大半のミールは人類への憎しみを抱き、戦いを挑んできたが、一部のフェストゥムは人類との共生を選択した。同じ思想を持つ者は、人類のなかにも存在した。彼らは人間であり、フェストゥムでもあった。その存在が戦局を混乱させ、より多くの憎しみを生んだ。戦いはもう、人類対フェストゥムという単純な構図では語れなくなっていた。そんななか、竜宮島だけは戦いの表舞台から姿を消し、沈黙を守っていた。2年前の来須 操との邂逅で、島はミールと対話する手段を手に入れた。それは島に、可能性をもたらした。アルヴィスの子たちは、戦いの準備を整えながら、敵を理解する術を模索していた。そして、今また、島に更なる進化がもたらされようとしていた。フェストゥムの言語を解する少女と、フェストゥムに守られた少女。ふたりが出会う時、新たな世界の扉が開く…
「三次元に興味はないよ」と言い切り、基地(ベース)と呼んでいるコンテナハウスで大量の美少女フィギュアに囲まれながら生活する、引きこもり一歩手前の高校2年生、西條拓巳。彼が住む渋谷では、『ニュージェネレーションの狂気(通称:ニュージェネ)』と呼ばれる不可解な連続殺人事件が発生し、ネットやテレビを日々騒がせていた。ある日、いつものようにチャットをしている拓巳の前に、『将軍』と名乗る人物が現れる。彼が発言したURLのリンク先にあったものは次のニュージェネ事件を予言するようなグロ画像だった。拓巳の平穏な日々に事件の影が忍び寄っていた──。
探偵は二人組。人呼んで最後の名探偵、結城新十郎。そして、相棒の因果。わけあって世の謎と真実を解き明かす探偵業。西に刺殺された金持ちあれば、行って犯人をあぶり出し、東に呪いで死んだ男あれば呪いではないと証明する。因果の協力と新十郎の推理。二人の不思議な絆が力を発揮する時、解けない謎はない。なんて、いつもカッコつけちゃいるけれど、なかなか思うようにならないことも多かったりして。それでも二人は吸い寄せられるように事件に立ち向かっていく。「しかし私が呼ばれたってことは、なにか事件が起きるということですよ。大事件がね」
隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。ある日、母・ライザの白笛が発見されたことをきっかけに、アビスの奥深くへ潜ることを決意するリコ。リコに拾われた記憶喪失のロボット・レグも自分の記憶を探しに一緒に行くことを決意する。深界四層でタマウガチの毒に苦しむリコ。リコを救ったのは成れ果てのナナチだった。ナナチを仲間に加え、ボンドルドの待つ深界五層へと三人は冒険を進める。 そこで、出会ったプルシュカと名乗る女の子は、ボンドルドに育てられ外界を知らずにいた。リコの冒険話に夢中になり一緒に冒険に行きたいと願うが、あえなくボンドルドの実験に利用されてしまう。しかし、プルシュカは形を変えリコの白笛となり、一同は深界六層「還らずの都」へと進む。そこには、成れ果てが独自の価値観を持って生活している「成れ果ての村」が存在していた。
パリの貴族の家に生まれたアルベールは、退屈な日常を脱するために、親友のフランツと旅に出た。月面都市ルナで、出会ったのは、モンテ・クリスト伯爵という大富豪。傍らには絶世の美女、後ろには屈強な部下を従え、ルナ一番の高級ホテルで優雅に暮らすその姿。伯爵のミステリアスな魅力にすっかり心酔したアルベールは、伯爵をパリの社交界へ迎え入れる。しかし、アルベールはまだ知らない。伯爵の真の目的は、その昔、自分に無実の罪を着せ、フィアンセを奪ったアルベールの父と、フィアンセであった母への復讐であることを。そして、その間に生まれた自分自身も、復讐の標的であるということを―――。
少女ラッカが夢から目をさますと、そこには頭に光輪をかざし、羽を生やした少女達が迎えてくれる。 壁に囲まれ、灰羽連盟に守られているグリの街の暮らしは仲間とふれいあいながら、過ぎていく。 不思議で幸せすぎる毎日だが、言伝えによれば灰羽はその時がくると壁の外に飛び立たねばならないという。 どうして灰羽になったのか。自分が何者だったのか。穏やかなグリの街の生活を続ける中で、やがて自分の、そして仲間の謎が明らかになっていく---。
主人公は魔界の『謎』を全て喰いつくし、さらなる究極の『謎』を求めて人間界にやってきた魔人・脳噛ネウロ。自身の身代わりに女子高生・弥子を探偵に仕立て上げながら、魔界の道具を使って次々と難事件を解決することで『謎』を喰い尽くしていく。
雪男は燐に決別を告げ、イルミナティへと向かってしまった。強さを求め、真実を求める雪男と向き合うためには、自分たちの出生の秘密を知る必要があると決意した燐は、メフィストの手引きで過去へと旅立つ。燐は、育ての父である藤本獅郎と実の母であるユリ・エギンの足跡を辿っていくが、二人が生きた道筋は、想像を超える過酷なものだった―― なぜ、悪魔の神であるサタンと人との間に仔が生まれたのか。〝青い夜〟とは何だったのか。すべてを知ったとき、燐が出す答えとは……。物語はいよいよ「青の祓魔師」の核心を暴き出す――
鉱石病——それは人々の体を徐々に結晶化させ、死に至らしめる不治の病。 製薬会社ロドス・アイランドはその治療法を研究し、 病が引き起こすあらゆる問題を解決するための取り組みを行っている。 感染者救済を謳うテロ組織"レユニオン・ムーブメント"の暴動を食い止めるべく、ロドスは炎国の都市である龍門と契約を交わし、活動を続けていた。 スカルシュレッダーとの戦いの後、アーミヤは、ミーシャを救えなかった事実を受け止めきれず、ひとり悲しみに暮れていた。一方、龍門郊外に廃都市を発見したロドスは偵察隊を向かわせる。そこで奇妙な現象が起きていることに気づくが——